NYタイムズ紙、香港スタッフの一部をソウルに 国安法で懸念

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は14日、香港のスタッフの一部を韓国・ソウルに移すことを明らかにした。中国政府に批判的な活動を厳しく取り締まる、香港国家安全維持法(国安法)への懸念の高まりを受けたもの。

NYTは14日付の電子版の記事で、国安法について、「報道機関を動揺させ、ジャーナリズムのハブとしての香港の将来を不確実なものにした」と評した。 記者は香港に残るが、デジタル編集チームは近いうちに移転するという。 中国本土では国際メディアが規制を受けることが珍しくない。香港は例外的な場所となっていた。批判を呼んでいる国安法は、国家転覆や中国からの分離、外国勢力との共謀などの行為を犯罪と規定している。

NYT幹部は同紙記事で、「香港で中国が施行した、広範囲にわたる新たな治安維持法は、私たちの事業とジャーナリズムにその新規則がどう影響するのかをめぐって、多大な不安を生んだ」と述べた。 「危機管理計画を作り、編集スタッフを地域で分散化させることが賢明だと感じている」

移転の対象と背景
NYTは香港で長年、読まれ続けている。今回移動する人数は明らかにしていないが、香港オフィス全体の3分の1程度としている。

その中に香港担当の特派員は含まれないが、ニューヨークとロンドンのオフィスが休止する時間帯に電子版を編集しているチームは対象になっているという。「私たちは香港において大きな存在であり続けるとともに、香港と中国の取材をとことん継続していく」と、同紙広報責任者のアリ・アイザックマン・ビヴァクワ氏はBBCに述べた。「私たちはビジネスと印刷のハブ機能を香港に置き続ける予定だ。一方で、徐々にデジタル編集のハブをソウルに移し、動きやすさを確保すると同時に、地域の資源に簡単にアクセスできるようにしていく」

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